第32話 華焔の残夢1
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「で、どうしたんですか?」
「3秒くらい預かったな。」
「それで、誰に渡したんですか?」
驚きのあまり、すぐさま隣にいた人物に押し付けた事までは覚えている。
「誰に渡したんですか?」
じっ、と睨みつけてくる春炯から逃げるように懐を探り、新しい一本を取り出す。
「あそこで寝転がってる方々じゃあないハズ…だけど」
『そんなの当然でしょっ!』
ぴしゃりと跳ねのけるように言い切られ、指先で煙草を弄ぶ。
角度的に押し付けた相手の顔は見えなかったが…
「そーいやぁ……」
沈みゆく太陽の光を反射する煌きが、視界を掠めたような気がしなくもない。
「…悪ィ。俺、ひょっとして地獄までの宅配人になったかも…」
「…それって、つまり…」
言わずに回避しようとした事実を八戒が口に乗せる前に、自分達の発する声しか聞こえていなかった一帯に、別の音が混じりこんでくる。
背後から徐々に近づいてくるこれは、音と言うより声だろうか。
火がついたような力強い泣き声に、春炯が髪を揺らして立ち上がる。
怖くて振り向けない自分と八戒を他所に、後方へと視線をやったその顔に安堵が広がる。
『良かった、どこかに捨てられてきたかと…』
背中越しにひしひしと伝わってくる威圧感を物ともしないこの女は、多分、どこかおかしい。
「おい、あのバカ猿はどうした?」
「あ~!やっと見つけたぁ!」