第32話 華焔の残夢1
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「今日の夕方には町に着ける…だったよな?」
ジープのボンネットに浅く腰掛けながら、溜息を吐く。
「アクシデントがなければ、とも言いましたよ僕は。」
隣で同じようにした八戒が言うのに、「ふーん」と煙草を取り出す。
「じゃ、これはそのアクシデントとやらに入るのか?」
ライターを探りながら顎先で、もの言わぬ無数の肉片を示す。
「入れていいと思いますよ。実際、この有様ですから。」
軽く肩をすくめた八戒が窺うように頭を巡らすその周囲には、鬱蒼とした木々。
目指す次の町へはこの森を通過せずには行けないのだが、見通しの悪いこの場所は待ち伏せや不意打ちにはまぁ、持って来いなワケで。
例によって例の如く現れた[紅孩児の刺客御一行]に、見事なまでに東西南北に各々引き離された。
「しっかし、タイマンなら勝てるかもなんて、見くびられたもんだな。俺達も。」
「闇雲に数で攻めても無駄だって分かったところまでは良かったんですけどね。見くびるとか、そういう問題以前にこの作戦には大きな欠陥があるんです。」
ぴっ、と指を立てた八戒が心なしか愉快気に笑う。
「僕達、協力して戦ったことってないんですよ。」
「……ない、な。そーいや。」
「でしょう?春炯も意外と、個人プレーですしね。」
「…そいや、そーだな。」
割とえげつのない戦い方をするのをなんとなく思い出し、ついで昼間の三蔵とのやり取りをはっきりと思い出しながら、煙草に火を点けた。