第32話 華焔の残夢1
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刺さるような空気が、吹くように散らされたのを、感じて。
何か言いたげに口を開きかけていた悟空が、名を呼ばれてふいっと足の向く先を変える。
『かして、私が抱っこしててあげる。』
「…ありがと」
定員+1が乗り込んだことを確認した八戒が、エンジンをかける。
『そろそろお昼だし、この子が眠ってる間にどこかで食べられたらいいね。』
「?こいつが起きてたら食べらんねえの?」
きょとんと瞳を瞬いた悟空に、ふふっと軽やかな笑い声が後部座席から流れてくると同時に、タイヤが動き出す。
「これだけ大人の手があれば、大丈夫ですよ。」
『それもそうね。』
「…俺はカウントに入れてねえだろうな。」
『アラ、何事も経験よ?』
「……なんの為にだ。」
『?三蔵、お父さんになりたい願望とかないの?』
「「ぶ」」
「ねえよ」
押し殺した笑い声が耳に障るが、最早それを黙らせる気力もない。
「…はいはい赤ちゃん起きちゃいますからね。静かにいきましょう。」
笑みを含んだ八戒の声にこめかみに青筋が浮き立つのを、感じた。