第32話 華焔の残夢1
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風に乗って届いた音の発信源を探るべく、首を巡らせる。
「何も聞こえないぜ?」
右は、見通しの悪い雑木林。
左には、水面が茶色く濁った河。
昨日までの豪雨のせいだろう、恐らく常より高い位置にある水面を木の幹や、大きな石が浮き沈みを繰り返しながら流されていく。
「あっ」
「あれ!」と発見したものを示すと、皆の注意がそちらに向かう。
「あれがどーかしたか?」
「どーしたもこーしたも、聞こえるだろっ?」
ムカつく程反応の悪い悟浄に吐き捨て、河にやった目を眇めている春炯の肩に手を置く。
「あそこ、ホラ!春炯!」
『…「わっるいけど、俺らの聴力は標準仕様なんだよ。おい三蔵、こいつの耳ってどうなってんだ?」
「決まってんだろ、猿並みだ。」
『待って』
その一声で三蔵と悟浄が押し黙る。
『確かに何か聞こえるかも。もう少し近づけば分かるわ、八戒。』
「はい」と答えた八戒がハンドルを僅かに左へと傾ける。
ぬかるんだ道をタイヤが、慎重に斜め左へと進路を変えていく。
「…なぁ、こいつら聴力どうなって『悟浄』
「…ハイ」
『黙って』