第31話 Opposite
夢小説設定
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春炯の肩から落ちかかっている毛布を掛けなおすと、何故かその隣の悟空が不快そうに顔を顰めた。
煙草に火を点け、慣れた苦さを肺一杯に吸い込む。
「――寝つけませんか?」
「まーなー。星が明る過ぎてよ。」
「…そうですね。」
八戒の黒髪の向こうを、紫煙が漂っていくのを、見送る。
「僕もさっき生まれて初めて流れ星見ちゃいました。」
「願い事なんざすんなよ」
「サムいから」と付け足すと、「家内安全、無病息災ですかね」と被せるように言われ、思わず肩が落ちた。
「どこのジジイだ、てめえは。」
言いながらふと目をやれば、降ってくる透明な灯りもなんのそので眠る幼顔。
「まーこの猿なんざ決まって食い物の名前連呼すんだろな。気持ちよさそーに寝こけやがって…」
春炯に寄りかかるようにして寝息を立てている悟空の鼻を、つまむ。
「ダメですよ、起こしちゃ。」
「起きやしねーよ。」
「…でも正直、願い事が即座に思いつくのってうらやましいですね。僕何も浮かんで来ませんでしたもん。」
「…そりゃアレだ」
座り直し、ハンドルに身を委ねた後ろ頭から視線を外す。
「願い事なんざ必要ねーからだろ。」
「……――成程…。」
少しの間を挟んだ返しを温い風が、散らした。
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