第31話 Opposite
夢小説設定
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子供みたいな声に、失笑する。
「これは何だ…!?頭の中で俺の意志とは別の思念が働く――気を緩めた途端に全てを持っていかれそうになる…!!」
恐怖の滲んだ声を聞きながら、目の前の男を初めて可愛いかもしれないと思えた。
「身体のついでに、心も楽にしてあげたんだよ。」
「王子様」と、うさぎを抱きかかえた你博士が、あやすように。
「な…?」
「君が望みもしない戦にケナゲに挑んでる様が痛々しくてね。手助けしてあげたワケ。」
どうしてもっと早くに、こうしなかったのだったか。
「君はもう何も考えなくていいんだ――この人形みたくね。」
「洗…脳だと…?」
「プロセス的には大脳皮質レベル3までの処置は終了しているんだがね。想像以上に王子様の自我が強くて洗脳を阻んでるようだ。流石に下級の妖怪とは精神力が違うね。」
「…ま…さか桃源郷の妖怪達の自我喪失や人格崩壊は「そ」
「異変でもなんでもないの。だって私達が故意にやってるんですもの。」
「――――!!」
見開かれた瞳に映る自分に、小首を傾げてみせる。
「――何故そんな事を…!?」
「必要だからよ、私達の計画にね。」
「――狂ってやがる」
嫌悪に上ずった声が、高い天井にあたって降り注ぐ。
「私欲の為ならば何をしてもいいってのか!?」
ああ――
「貴方の父親はそういう男だったわ。貴方の身体にも同じ血が流れてるのよ…ああ」
掬った細い顎下の温度に、指が滑る。
「そういう眼をするとよく似てる…私の愛しい人。」