第30話 Always
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「君の大事な主君は一刻を争う状態だ。」
「胡散臭いマッド野郎だけど、ボクも一応生命工学者だからね。放っとくと死ぬだけだよ?」
「………」
ぴくりとも動かない背中の主に目をやったその顔がややあって、こちらに向き直る。
「――紅を、頼む。」
搾り出したような声に、黄博士を見やる。
「担架を。」
「ええ。」
丁重に横たえられた紅孩児がやがて、運ばれていく。
「――言ったよね。」
放心したように突っ立ったままの独角児が、鈍い動作でこちらを見る。
「大事な物は手放しちゃダメだよって。」
**********
『……悟空…?』
白い灯りが射す室内に響いた細い声に、擦れたみたいな息が漏れた。
こちらを見上げていたその顔が解れるのに堪らなくなって、体を押し付けるようにその傍に寄れば
『…………よしよし』と春炯の息遣いが柔らかく、耳をくすぐる。
繰り返し頭を撫でてくれるのに苦しくなるこの、感覚を、何て言うんだろう。
『よしよし…』
何て。
Next page あとがき