第30話 Always
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「体温も呼吸も安定してます。念の為町医者の方にも診てもらったんですが、特に体に異常はないと仰ってました。」
背後から聞こえてくる八戒の声を聞きながら、ベッドに横たわる姿に目を落とす。
シーツの下の胸が上下する間隔が、ひどく長い。
長い睫毛が影を落とす白い顔の中で、口元の痣がそれが只眠っている人間である事を教えていた。
「経文を使って悟空を鎮めるなんて離れ業、貴方にしか出来ないと思っていました。というか、所有者以外が使用するなんて「不可能だ。」
「え」
「俺以外に魔天経文は使えない。恐らく、力を集中させる為の媒介として使ったんだろ。」
「………」
顎に手を添えて何やら考え込むように目を伏せるのに、口を開く。
「真言は唱えてたか?」
「真言…ですか?いえ…多分、していなかったと思います。」
「ウロ覚えで申し訳ないんですが」と続けた八戒が、「それが何か」と問うのに緩く首を振って応える。
「大した事じゃない。」
頬にかかった髪を一筋払ってやって暫く眺めていると、ジーンズのポケットに手が伸びた。
「まさかとは思いますが、眠ってる女性の部屋で喫煙なんて非常識な行為は控えて下さいね。」
踵を返してドアの方へと歩いていった八戒が、足を止めて振り返る。
「僕も控えます。」
「…何を。」
微笑んで室内から出て行くのを見送りながら、眉根を顰めた。
「………。」