第30話 Always
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「…俺は…強かない。」
「――知ってますよ。」
視線を上向けると、容赦ない高さから降ってくる穏やかな眼差しとかち合う。
「でも少なくとも弱くはないでしょう、貴方は。」
「お目覚めはいかがですか?」との問いに内心で舌打ちながら、口を開く。
「……――最悪だ。」
「丸三日も意識不明で昏睡してたんですから、起きた途端にそれだけ悪態つく元気があれば充分ですね。」
開け放たれたカーテン越しに射す光に、目を閉じた。
「三日も経ったのか…」
「致死量の毒に冒されてあれだけ動いて、三日で意識が回復する方が奇跡ですよ。あと少し遅かったら命はなかったでしょうね。」
淡々と告げられる言葉にゆっくりと記憶を、遡る。
「実際僕らもどうやってこの村に帰ってこれたのか…あの少年がまた運よく僕らを見つけなければ、全員揃って砂上の干物になってたかもしれませんから。」
「――紅孫児はどうした。」
「独角さんが抱えて帰りました。逆恨みされちゃいましたけどね。…気持ちはわからないでもないですが。」
「……そうか。」
ひとつ瞬いた八戒が、唇を僅かに緩めて右側を軽く見やる。
「悟空なら悟浄と一緒に隣の部屋ですよ。」
「あれ、違いました」と続けるのに、肘をついて寝返りを打つ。
「…知るか、あんなバカ。」