第29話 Pride
夢小説設定
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「………」
動かない三蔵の白い顔には、汗すら浮いてない。
力なく投げ出された腕にも、一定のペースで流れる赤にも時間がない事は、明らかだ。
知らず握り締めた拳が伝える力が、その意味を遅れて連れてくる。
「――なあ八戒。」
「え?」
「後でどーにかして俺を止めてくれる?」
「悟空、まさか――」
「俺、今のままじゃアイツ殺せないから。だけど負けらんないから。」
額に手をやったその時本当は振り返ろうかと、思ったんだ。
だけど俺を見ていてくれているその目を見た、瞬間その顔がどんな風になるかは今は。
「頼むな。」
鼓動が内側で大きくひとつ、脈打つ。
「――!!!」
昏いくらい闇の中から連れ出してくれた。
「…あ あ…」
太陽よりも、もっともっと眩しい世界をくれた。
「あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛」
…何でだろ、よく覚えてる。
もっとずっと昔からこんな想いを俺は、知っていた。
手を伸ばせば届く距離にあるその、姿を。