第28話 selfish
夢小説設定
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…俺には
初めて言葉を交わした時から。
「――待て、悟空。」
初めて、その顔が笑うのを見た、時から。
俺には善悪で計れないほど大事なものがある。
多分。
「…向こうに俺達が乗ってきた飛竜がある。それを使えば簡単に近くの街まで行けるだろう。貸してやっても構わん。――ただし」
善悪で計れないほど大事なもの。
――そう。
そんな台詞を恥ずかし気もなく口にしていた。
この男と自分達はいつか
『………』
切れ長の赤のその縁で、強い意志が湛えて漲る。
その目を見返す悟空の金晴眼が、瞬きを忘れていた。
「俺を殺せたらの話だ。」
無造作に取り去られた紅孩児の外套が乾いた風にはためいて、砂に落ちる。
きっと
「俺達が勝てば魔天経文を貰う。貴様らが勝てば、飛竜は貴様らの物だ。」
それぞれに
「――決着をつけよう。」
「…………紅孩児…?」
同じだけのものを、抱えて。