第26話 Sandstorm
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「はぁあ!?オイちょっと…」
突き飛ばされるようにして追い出された宿の扉が、派手な音を立てて閉まる。
「「「………」」」
騒ぎが聞こえた筈なのに、痛い程の静寂の降りてくる周囲の家屋を見やった春炯が面食らっている三蔵を見上げて首を傾げた。
『どうなってるの。』
「俺が知るか。」
錠の閉まる音の聞こえたドアの前で俯いているガキに目をやると、視線を追った八戒が遅れて気づいた。
「…君、何か知ってるみたいだね。よかったら話してくれないかな。」
ややあって顔を上げたその目が、多分に躊躇いを含んでこちらを向く。
「…1年くらい前、まだこの辺も町の一部だった頃三蔵法師様が来たんだ。」
気まずそうに三蔵を見上げついでまた、視線を逸らす。
「お兄ちゃん達みたいに旅の途中で立ち寄っただけなんだ。それでも偉いお坊さんが来たって、町をあげて迎えたんだけど…その噂を聞きつけた砂漠の妖怪が……三蔵様を喰いにやって来たんだ……」
「「「『………』」」」
「なあ」、と能天気な声が場の沈黙を見事に破った。
「何でわざわざ三蔵を喰いにくんだよ?三蔵ってうまいの?」
「お前が言うとシャレになんねェぞソレ。」
「…前に闘った蜘蛛女も言ってたな。得の高い坊主の肉を喰らうと寿命が延びる。――それが妖怪達の間での言い伝えだと。」
「つまり最高僧、”三蔵法師”は妖怪にとって最高の漢方薬みたいなモンですね。」
『…ちょっと違うような…。』