第24話 "BE THERE">4<
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桜の咲く頃に、私が金山寺を出る事が決まった。
お別れするには1番良い時期だからと笑う三蔵様はとても淋しそうで、だから私はなかなか悲しい気持ちになれなかった。
『長安…』
「ええ。そこからまた少し離れたところにある斜陽殿というところで、貴女には修行に励んでもらいます。」
「巫女になるという事ですか…?」
代わって尋ねてくれた江流に、三蔵様が頷く。
「春炯には夢見の才があります。私の見立てでは、恐らく法術にかけても天性のものがあるでしょう。」
『…ほうじゅつ…?』
「お前、やっぱり気づいてなかったのか。」
きょとんと目を瞬くと、呆気にとられたような顔で見返される。
「しかしお師匠様…私は法術を扱う巫女など聞いた事がありません。寧ろ――「江流。」
呼ばれたその肩が、ぴくりと震えた。
「淋しいのは私も同じです。けれど、春炯は此処に置いておく事は出来ません。」
長い間を挟んで「はい」と応えたその目が、こちらを見る。
お小言でも憎まれ口でもない無言の訴えは、思いの他、効いた。
「!?――…泣くな。」
「貴方が泣かせたんでしょう。」
「え゛!?」
「ホラ、おいで春炯。」