第23話 "BE THERE">3<
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「……であるからして、最終的にこの教義は四諦八正道に基づくものである。これについては既に学んできたな。」
「押認」というバリバリ体育会系の応えを聞き流しながら、経典を開く。
「では八正道の説く”徳”を――挙げてみろ。」
指された僧が、明らかにこの空間にそぐわないデカイ声で喋り出す。
「よろしい。では次に四諦、法華経譬諭品第三。”或は人、小智にして深く愛欲に著せ””これらを為ての故に苦諦を説きたもう”――続きを、江流。」
「――”衆生心に喜んで未曾有なることを得、仏の説きたもう苦諦は真実にして異なることなし””仮に衆生あって苦の本を知らす”――”深く苦の因に著して暫くも捨つること能わざる。””これらを為ての故に””方便して道を説きたもう……”」
「よろしい。続きを……」
欠伸を噛み殺し、顔を伏せる。
午前4時半起きの生活を始めて、8日。
禊行から始まり、経典講義と体術演習に法術演習。
午後10時半までの一日は一言で言って、無駄に長い。
「では次に――」
開け放された障子から入ってくる風が、後ろ髪を触っていく。
秋へと移ろう空気の気配がそこかしこに、見られるようになっていた。
江流
ふいに鈴を転がすような声が耳に響いたような気がしてなんとはなしに、離れの方へと目を向ける。
「……――!?」
「どうした、江流。」
「あいえ、何でもございません…」
「失礼しました」と顔を伏せ、膝上の拳を握りこむ。
あんのバカ…――!