第15話 螺旋の暦 5
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右を見ても左を見ても、赤茶けた不毛の大地。
数日前眺めていたのと同じ景色の中を、ジープが西へとひた走っている。
「叶さんに三蔵を殺す気がなかったから良かったですけど、そうでなかったらどうするつもりだったんです?あそこで死んでたら、まるで馬鹿みたいじゃないですか。」
狭い空間の中で、事の成り行きを説明し終えてからずっと、ちくり、ちくりと八戒の毒舌にさらされている三蔵の機嫌は、その顔を見ずとも分かった。
その片棒を担いだ筈の誰かはといえば、そんなのどこ吹く風とでも言うように悟空と共に菓子パンに齧りついている。
「自業自得。」
ここ数日孤独にその意味を噛み締めていた言葉を他人に、それも三蔵に使えるというのは正直に言って、良い気分だった。
「…そういえば悟浄。」
「……何だよ。」
返ってきたのがハリセンでも、補充し終えたばかりの銃弾でもない事に、たじろぐ。
「お前、最後に命が何て言ったのか聞こえたか?」
「…いや?風で聞こえなかった。」
「あ、僕も聞き逃しました。」
「俺も。」
『私も。』
「三蔵には聞こえたんですか?」
「ああ。俺はそれなりに近くにいたから。…聞きたいか?」
意味深な目でわざわざ肩越しに振り返るのに、眉根を寄せる。
「…べっつに?どうせ礼だろ?」
「今後のお前の人生に、大いに関係すると思うが。」