第15話 螺旋の暦 5
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夢でも見ているかのように呆然としている叶を見つめていた桜花が、唐突に振り返る。
「悟空。協力してくれて、ありがとう。」
「えっ?ああ、うん。」
突然話を振られた事に戸惑う悟空を見下ろし、口を開く。
「礼言われる程働いてねーだろ、こいつは。」
「そういう悟浄も大した事してないでしょう?」
「お世話になりました」と八戒に頭を下げたその瞳が、すぐ隣にいる自分を素通りして三蔵を向く。
「私を思い出してくれて、ありがとう。」
「…他に言いたい事はないのか。」
言外に問う三蔵に、極上の笑みで「ありませんわ」と言い切った桜花がすぐ側まで歩いてきていた春炯を見上げる。
『答えは、みつかった?』
「ええ、ありがとう。……いつかきっと貴女の声も、届くわ。名前も呼べるようになる。」
後半の言葉を聞いて僅かに目を見張るのを撫でるように笑った桜花が、「きっと」と繰り返した。
そうして
「…叶。」
名を呼んで、もう一度その首に腕を回すその背中が
「好きになってくれて、ありがとう。」
そう耳元で囁くように告げた声が
まるで。