第15話 螺旋の暦 5
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「まさかお前まで、銃弾抜いてくるなんてな。」
静かに銃を下ろしたその顔には、苦い笑みが刻まれていた。
「別に、わざわざ抜いてきた訳じゃない。俺が何の為にこの街に立ち寄ったと思ってんだ?」
面を上げたその目に見せつけるように、銃を持った左手を掲げる。
「弾切れなんだよ。」
「使い切る前に、予備買えよな。」
呆れたような笑みを見せたその長身が、どっかりと地べたに座り込む。
「今度こそ、死ねると思ったんだが………なぁ、人って死んだらどうなるんだ?生きてた時の事とか覚えてるもんか?死ぬ時や場所が違っても、あの世とやらで会えるもんなのか?」
「知るか、そんな事。」
「お前坊主だろ?」
「生憎、死んだ事はない。」
ぽかんと口を開けたまま会話に聞き入っていた悟空から、視線を横向ける。
時を同じくして木から背中を浮かせた春炯が何かを捉えて、その方を見やるのが、見えた。
「命に、聞きたい事があったんだ。俺の事をどう想ってるか、次に会った時に返事を…貰う筈だったんだ。あんな事がなければな。」
「あんたが行くより、来てもらった方が早い。」
言うが早いが山道への入り口に現れた人影が、目に見えて肩を落とす。
「何とか、最悪の事態は回避されたみたいですね。」
少し息を乱した八戒の横に、それ以上に疲れた顔をした悟浄。
2人の間をもつれる足で転がるようにして駆けてくる桜花に目を、眇めた。