第15話 螺旋の暦 5
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「三蔵!」
大声で叫んだ悟空が半瞬の空白の後、その顔に浮かぶ表情を変えた。
だが三蔵は動く事も言葉を発する事もなくただ、悟空を凝視し続けている。
正しくはその、足元を。
三蔵も正面に位置する人物も、また。
その視線の意味が分からない悟空が、三蔵の側に寄るべく足を進めていく。
1歩、2歩、3歩…「えっ」
それまで微動だにせず立っているだけだった2人がほぼ同時に銃を取り出し、構える。
「!?三蔵っ」
驚愕に目を見開いた悟空が地を蹴るが、それはもう叶が引き金に掛けた指に力を入れるのを防ぐ事も、三蔵の前に飛び出す事も間に合わない。
引き金に掛かった双方の指に力が込められるのを真近で見るような、幻視。
けれど耳に届いたのは火薬の爆発音でなく、カチッという微かな、金属音だった。
『………』
素早く上から下まで視線を流して三蔵が無傷な事を認めた悟空が、三蔵を背に庇うように前に出る。
「おいっ、これだけは言っとくかんな!」
対峙した叶にも当然の如く傷はなく、銃を持つその右手が僅かに下がる。
「アンタが三蔵殺そうとすんなら、俺はアンタ殺すからなっ!」
一切の迷いのない眼で相手を見据えて言い放つのに、目を、細める。
知らぬ間に一歩踏み出しかけていた爪先をやっぱり知らずに、退きながら。