第15話 螺旋の暦 5
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「悟浄」
突然走り出した桜花を呆然と見送っていると、背中を軽く押された。
「僕達も急ぎますよ。」
「待てって。何なんだよ、一体。」
言って追い越していくのに慌てて足を踏み出し、脇目も降らずに駆けていく小さな後姿を見やる。
「思い出したんでしょう、全部。」
「思い出したって…じゃあこれが本当に桜花な訳?」
丁度真横にあった女性像を、指で示す。
「そうですよ。でも今はそれどころではないので、詳しい説明は後にして下さいね。」
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「ッ」
逸る気持ちに、障害物を無視してただひたすらに、奔る。
置いて行かれた事に、腹が立つ。
けれど今自分をこうも急かしているのは、苛立ちじゃない。
強い、不安。
三蔵の強さは分かっているけれど、それでももし、という仮定の言葉が脳裏を過ぎる。
春炯――春炯がいても、同じ事だ。
春炯は絶対に、三蔵が望まない事をしない。
だから、三蔵がもし――
視界を遮る枝を払いのけた途端唐突に、視界が開ける。
「三蔵!」