第15話 螺旋の暦 5
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「八戒、もう少しまともな道ないのかよ?」
昨日登った巫女の住まう屋形までの階段はおざなりな造りだったが、それがどれ程有り難いものだったかを今更知る。
獣道を飛ぶように行く悟空の背中を見ながら、ぜぇと息を吐いた。
普通に登るのもそれなりに大変だというのに、急を要するので全速力で駆け上がらなければならないという、この事態。
「それもこれもみんな…」
「そう。みーんな三蔵が悪いんですよ。文句なら後で本人に直接たっぷり言って差し上げて下さい。」
「………八戒、お前実は滅茶苦茶怒ってる?」
恐る恐る振り返るが、足元に視線を落としたその顔に浮かぶ表情は見えない。
「まんまと騙されましたからね。まさか真夜中から1人抜け駆けしてるとは思いませんでしたよ。」
かろうじて見えた口元に刻まれた微笑に、ほんの少しだけ三蔵に同情を覚えつつ前へと視線を戻す。
「まぁ、春炯がついてんのが救いだな。」
「あの人は、三蔵の意に沿わない事は絶対にしませんよ。」
「多分」と付け加えられた一言に、前を向いたまま眉根を上げる。
「……お前、実はマジで滅茶苦茶怒ってない?」
「でも、ほら。僕よりずっと怒ってる人がいますよ。」
と指し示された背中との差は、すでに10m近い。
「アイツ、やっぱ普通じゃねぇ…。大体俺はお荷物抱えてる訳だし?同じ速さでついてける訳ねぇ…っ痛て!」
ぐんっ、と後ろ髪を引っ張られ、顎が上向く。
「何言ってるのよっ」