第15話 螺旋の暦 5
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一昨日も立った扉の前で、同じように来訪を告げた。
あの時開かれる事のなかった扉が、然程間を置かずして開かれる。
「よぉ、早いな。」
いっそ晴れ晴れとした顔を見返し、口を開く。
「年寄りに合わせてやったんだ。」
「ほんと、口の減らねぇガキだな」と笑った叶の目が、やや離れたところに立つ春炯を捉えて僅かに見張られる。
その視線を受けて頭を下げるのに目礼だけを返した目が、再びこちらを見やる。
「殺し合いに水を差す気はないらしいから、特に気にする必要はない。」
ちらりと肩越しに振り向き、腕を組んで木に背中を預けているのを一応確認する。
「……まぁ、あれだな。別に積もる話があるって間柄じゃねぇし。」
「やるか?」とまるで煙草や酒でも勧めるような気軽さで言うのに、頷く。
「約束の物は、あそこに置いてある。」
開け放たれた扉の正面にある大きめのテーブルの上に置かれた箱を見て、顔を戻す。
「殺し合いはいいが、具体的に何をどうやるんだ?」
「道具はこれでいいだろ?1番早くてラクだ。」
昨日突きつけてきた物と同じ銃を右手に持ってみせるのを眺め、こちらも銃を抜く。
「何かで読んだ事があるんだが、合図を決めておいて、合図があったと同時に撃つってやつはどうだ?」
「それでいい。で、合図は?」
そこまで考えていなかったらしく、叶が辺りを見回す。
「鳥が鳴くのでも待ってみるか?」