第15話 螺旋の暦 5
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「さっきの下世話な好奇心の話なんですけど…」
枕もとの灯りを落とそうとした手を、止める。
「僕の想像通りだったら…三蔵が叶さんに勝ってしまった場合、桜花はやっぱり悲しむんでしょうか?」
「…じゃないか。」
命とも、桜花とも。
会話らしい会話など数える程もないのだがそれでも。
同じこの世ならざる者になったと喜ぶような人種ではないだろうと、思う。
灯りを消し、寝転がる。
やがて隣から規則正しい寝息が聞こえてくるようになった頃、寝返りを打った。
闇に同化して無限の懐を思わせる天井を見上げながら、思考を、泳がせる。
叶の口から”あいつ”という言葉を聞くまで、命の事など思い出しもしなかった。
会ったのがたった1度だけだから当然と言えば、当然なのかもしれないが。
――子どもと同レベルで言い合いしているなんて
そう言って、笑っていた。
経文と金冠と小銃の在りかを一向に教えようとしない叶に、食ってかかっていた最中。
口論の原因を聞いた命は、そんなに急いで出て行く事もないでしょう、と微笑みながら何でもない事のように言った。
ただ
春になるとこの辺り一面桜の花で薄紅に染まってとても綺麗だから、折角だから春までいればいいのに
それだけの、理由。