第14話 螺旋の暦 4
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「俺はお前が否定するなら、それを信じた。それで良かった。」
ようやく笑いを収めた叶が、どこか気の抜けたように、それでいて覚悟を決めたように呟く。
「でもお前は、バカ正直に肯定した。お前のせいで皆死んだ…命も死んだ。」
言いながら、その手がベルトに挟んであった銃杷を握る。
自身の持つ物よりも一回り大きな銃口が至近距離から、こちらを捉える。
「逃げないのか?お前が死んだら悲しむヤツ、いるんだろ?」
「さあな」と返すと、「本当に可愛げのないヤツだな」と苦笑と共に銃を持つ手が降ろされる。
「分かってはいるんだがな。悪いのはお前だけじゃない…。お前を拾った責任は間違いなく俺にある訳だし、あいつを守れなかったのも俺だ。でも、それじゃあ俺の気が済まない。そういう訳だから…」
獲物を捕獲する肉食獣のような鋭さを帯びてこちらを見る叶の両眼が、細くなる。
いけ好かない笑みを浮かべる時と全く、同じように。
「殺し合い、しようぜ?」
「俺には何のメリットもないな。」
「銃弾が欲しいんだろ?用意しておいてやるから、明日また山に来い。お前が勝ったら、持っていけばいいさ。」
そう言って踵を返すのを見送っていると、ふとその足が歩みを止めた。
「命の墓参り。」
肩越しに振り返った叶が、顎で背後を示す。
「お前、最初に聞いてきただろ?何の用かって。墓参りみたいなもんだよ。気が向いたら、経でも読んでやってくれ。」
振り返りもせず去っていく後姿がやがて、視界から消えていった。
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