第14話 螺旋の暦 4
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「…ここに来ない方が、お前の為だったのにな。」
もう二度と、会う事もない筈の相手。
それで良かった。
「どういう意味だ?」
それで、良いのだと。
「次にもしお前に会ったら、確かめたい事があった。俺がお前を拾った時のあの傷は、一目で妖怪の仕業だと分かった。通りすがりに襲われたんだと思ってたんだが…」
言葉を切り、記憶のそれよりも大分背が伸びた男を見る。
だがじっとこちらを見返す紫暗は、あの頃のまま。
いや…
邪魔な思考を追い出し、視線を合わせたままで続ける。
「お前が出て行った後、妖怪が襲ってきた。金髪のガキを出せ、ってな。お前、妖怪に追われていたのか?答えたくなければ、それでいい。否定したかったらそうしろ。肯定した場合は、お前の事殺すつもりだから。」
「俺はあの時、妖怪を追っていた。同時に追われてもいた。」
貼りつけていた薄い笑みが、意思とは違うところで剥がれ落ちる。
「ああ言われて、そう答えるヤツがいるか?普通。」
笑いを含ませながら言うと、「事実を知っている相手に嘘をつくのは、無駄だ」と静かに切り返される。
「命が掛かっているのに、労力を惜しむのか?」
相変わらずに見えるその眼差しが、どこか。
それは気のせいだろうと思い込むには、十分過ぎる程。