第14話 螺旋の暦 4
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岩の前で、軽く溜め息を吐く。
悟浄の要領を得ない説明のせいで、ここに辿り着くまで思った以上の時間がかかった。
暫く辺りを眺めていると、背後に気配を感じた。
「こんなとこに、何の用だ?」
振り返るより早く、かけられた声。
視線を投げた先の、木の幹に凭れるようにして叶がこちらを見ていた。
答えないでいると、軽く肩を竦めたその長身が歩き出す。
岩を間に向かい合う位置で足を止めた叶の方から吹いてくる風に、酒気はない。
昨日山で会った時よりも、記憶の中の叶に近く思えた。
「こんなとこに、何の用だ?」
「…そういうアンタこそ、何の用だ?」
「さあね」とからかうように琥珀色の瞳が細められ、口元にも余裕のある笑みが浮かぶ。
「お前、相変わらず旅続けてんだな。そういえば昨日、連れがいたよな?キレーな顔した男と女だったが…今は3人なのか?」
「…もう2人いる。」
そう答えると一瞬だけ、驚いたような表情がその顔に浮かぶ。
「……何で、この街に戻ってきた?」
「昨日言った筈だ。銃弾が欲しいと。」
完璧な無表情で問うてくるのに同じ様に、返せば。
「そうだったな」と呟いた切れ長の視線が逸れて、疲れたような笑みがその横顔に見えたような気がした。