第14話 螺旋の暦 4
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想像していたより、質素で小さい。
屋形なんて言うから、もう少し大きくて広いものかと思っていた。
一通り探索し終え、草原に座り込んで煙草を吸っている悟浄に駆け寄る。
「悟浄、帰ろーぜ。」
「今来たばっかだろが。」
「ここ面白いもんないし。つまんねぇ。」
「暇ならその辺で踊って歌って回ってろ。で?お前は何か思い出せたのか?」
傍へ来ていた桜花が、きょとんと目を瞬く。
「八戒が昨日のお前の話を聞いて、ここに住んでたんじゃないかって言ってたんだよ。」
「何も思い出しませんでしたわ。」
あっさりと言うのに、悟浄が剣呑な目つきで口から煙草を放す。
「お前、本当に自分の事知りたいって思ってんのか?もっと真剣に考えたらどうだ。」
「考えてるわ!」
突然響いた大声に驚いた鳥達が、木立の間から羽ばたく。
「真剣に、考えてるわ!決まってるでしょう?貴方にとっては所詮他人事でしょうけど、私にとっては切実な問題なんだから!!」
顔を歪めて話す桜花の剣幕を、息を詰めて見つめる。
「誰も私を知らない。私は誰も知らない。もう死んでるんだからって言われればそれまでだけど…でも、私の意識はここにあるのにッ」
噴き出した感情が、あてもなく空気に四散する。
悲鳴にも似た叫びと、一緒に。