第14話 螺旋の暦 4
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「すみません。」
声をかけると、店の奥から元気な声がして40代半ばくらいの恰幅の良い女性が出てきた。
営業用の笑みを浮かべる女性に固形燃料が欲しいと告げ、お金を支払って品物を受け取る。
「お兄さん達、見ない顔だね。旅の人?」
軒先に吊るされた透かし模様の施されたランタンを興味深げに見ている春炯に視線をやった女性が、こちらに顔を戻す。
「ええ、まぁ。」
兄妹には…見えないだろうなと思いつつ、笑顔で誤魔化す。
「ちょっとお聞きしたい事があるんですけど、街の外れにあるお墓が誰のものかご存知ありませんか?」
「そんなとこにお墓なんてないわよ?」
「…大きな岩が目印らしいんですけど。」
「墓地は一箇所だけだよ、この街じゃ。」
今度は、こちらが困惑する番だった。
「じゃあ、この街に5歳くらいで亡くなった女の子はいませんか?髪は緩い癖毛で…」
「そんな子いないよ。」
「ここ最近だけでなく、数年前まで遡って…「だから、そんな子はいないって。」
重ねて否定した女性が、腰に腕をあてる。
「この街はご覧の通り小さな街だからね。子どもが生まれたり誰かが死んだりしたら絶対耳に入る筈なんだよ。私の思い出せる限り、そんな小さな子どもが死んだなんて出来事は、9年前妖怪に襲われた時しかないよ。」
「じゃあその時亡くなった子どもで「人の話は最後まで聞く!」
「…すみません。」