第14話 螺旋の暦 4
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
じんわりと沁みるような暖かさを連れた太陽が、真上から陽射しを降りかけてくる。
『…小さい街ね…。』
「ええ、本当に。」
先に銃弾の補充に出かけた三蔵を追うように、街の散策を開始したは良いものの。
中心部をぐるりと一回りして分かったが、同じ商品を取り扱っている店は3件となかった。
特筆する程の何があるわけでもなく、それ程栄えている風もない。
それでもこの周りの荒れ地から考えれば、ここは楽園だ。
昨晩希紗から聞いた神話まがいの話を鵜呑みにするつもりはないが、人外の手や力が加わらなければこうはならないだろうと思わせるものが、確かにある。
視線を昨日登った、水を司る神が降りて来たという山に移す。
今あの山には悟空と桜花、そして2人に引き摺られるようにして宿を出た悟浄が登っている筈だ。
桜花は昔、あの山に住んでいたのではないかという仮説を今朝方、八戒が語っていた。
それでも、悟浄に山登りを強いるだけの理由には不十分だったようだけれど。
露骨に嫌そうな顔を思い出して、笑みが零れる。
「?どうしました?」
『ううん。そろそろちゃんと悟浄に協力しないとな、と思って。』
少し高い位置から見下ろしてくる八戒が、「ですね」と同じ様な笑みを浮かべて頷く。
「あそこ、入ってみましょうか。」
『うん。』
のんびりとした足取りで歩く八戒との間を風が、抜けていく。
穏やかで、何ら気負いのない空気に知らず、口元が緩んだ。