第14話 螺旋の暦 4
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「何だよそれっ」と喚く悟空の声が、扉越しに聞こえた。
『…強引だね。』
ポツリと呟かれた言葉に、まだ掴んだままだった腕を離しながら笑う。
「すみません。」
『八戒じゃないよ』と笑い混じりに言った視線が、向かいのドアを向く。
「……春炯」
こちらを見上げたその目に映る自分に、微笑む。
「お休みなさい。」
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扉を開けると、そこは飲み込まれるような深い闇だった。
部屋中の明りという明りが消され、ご丁寧にカーテンまでぴっちりと閉ざされている。
室内の暗さに目が慣れ、朧な輪郭で物が判別出来るようになってから自身のベッドへと向かう。
「……希紗さんに聞いてみたんですけど、あの屋形に住んでいた人間は皆ある程度年を重ねた方で、桜花のような子どもはいなかったそうです。」
こちらに背を向けている三蔵に向かって、告げる。
「でも、桜に関しては三蔵の言った通りでした。」
街の中や周辺に桜の木は数える程しかなく、ただ薄紅に染まった山を見上げるだけだと希紗は言っていた。
辺り一面に薄紅に染まった中を歩けるのは、以前山に住んでいた人間のみ。
矛盾する2つの結果を伝えるだけ伝え、上着を脱いで布団に手を伸ばしたところでひとつ思い出し、動きを止める。
「それと、悟空が心配してましたよ。そのうちきちんと説明してあげて下さいね。」