第14話 螺旋の暦 4
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顔中で疑問を訴えてくる悟浄に笑い、息を吐いて髪を纏めなおす。
「悟浄、夢見も知らねーの?」
「無知だなっ」と笑った悟空を、悟浄が睨みつけた。
「うるっせ。で?何なワケその…ユメミ?」
机に腰を預けて腕を組んで本格的に聞く姿勢なのを見てとり、その隣に腰掛ける。
「夢見の力…過去と未来を夢を通して見聞きし、先の予見を可能にする力の事よ。巫女と称される人間が稀に持つ特異な才で、修行云々で発現・使役出来るものではないわ。」
すらすらと説明した桜花が、「合っている?」と首を傾げるのに、頷く。
『ええ。』
「え、何じゃお前先の事が分かるワケ?何でも?」
『まさか。』
純粋な驚きを含んだ切れ長の眼に向かって、笑う。
『いつもいつも先の事を夢に視る訳ではないわ。大抵は普通の夢だし…』
私の夢見の力はとても、限定的だ。
物心ついた頃からずっと、繰り返し視るのは同じ場所で流れる時間ばかり。
桜の舞う常春の世――
人間だからそこに通常の夢が混じる事も充分有り得るし、視た事自体を忘れてしまっている可能性だってある。
でもそう言えば昨日居た場所はいつもとは少し、違う感じがした。
三蔵によく似た顔立ちの男性と――「春炯?」
明るい日差しを一杯に含んだ瞳で私を見上げたその姿が、重なる。