第1話 Begin again
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「ですから」
言葉が切られると同時に、ガクンと車体が揺れる。
「森の中にA地点B地点という二つの場所があるとして…B地点まで進むと、またA地点に戻るんですよ。つまり何らかの方法で空間が繋げられていると考えればいいワケです。」
「んなこと可能なのか?」
「結界とかそういう類なんじゃないですか?で、恐らくこれを仕掛けたのが…」
「件の巫女とやらだろうな。」
「…何ソレ。俺ら、嵌められたってコト?」
「まあ、一概に文句も言えないですけどね。何せ向こうは僕らを狙ってたワケですし…」
「っつーか俺動いてめっっちゃ腹減ったンだけどッ!!」
「まあまあ…この仕組みがさっきの一団と僕らとを確実に引き合わせたかっただけだとすれば、彼らが全滅した時点で術を解いてくれるんじゃないか、と…」
カシャァァ―――ン
頭上から降ってきた高い音が、辺りに響き渡る。
仰ぎ見れば生い茂っていた草木がまばらに途切れ、心なしか昨日よりも鮮やかな茜色が広がっているのが見えた。
「……炯…?」
「…三蔵?」
その横顔に常にはないものを感じて呼びかけると、これまた珍しく不意打ちに無防備な表情が返ってくる。
「どう「おい!?」
慌ててブレーキを踏んで振り返りかけた視界の中を小柄な影が踊った次の瞬間に、ボンネットを軽い跳躍が伝う。
そのまま真っすぐに走っていく悟空の背中の向こう。
森の出口――夕暮れの中に佇む、たおやかなシルエットが見えた。