第14話 螺旋の暦 4
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普通、幽霊と称される者はもう少し存在が希薄なのではないだろうか。
「その手の専門家は祈祷師、霊媒師の類だろ?」
「巫女でもなく?」
そう問うと、その横顔で分かるか分からないかといった位に眉根が寄る。
「…得手不得手がある。知識はあるだろうが、あいつの場合は俺に少し毛が生えた程度だろうな。」
確かに、そう言えば本人も才能がないと口にしていた。
「じゃあ、質問を変えます。さっきの桜花の話をどう思いました?」
希紗が知らない巫女に関する情報を、彼女は持っていた。
「あくまで仮説なんですけど、もしかすると桜花はあの山に住んでいたんじゃないかって思うんです。」
9年前、あの屋形で妖怪に皆殺しにされた中のひとりだったのではないか、と。
希紗の巫女に対する知識が一般的に見て極浅いものなのかもしれない、もしくは桜花の言っていた事が間違っているのかもしれないという可能性を考慮したとしても、その可能性を頼りに追っていくしかないのが現状だ。
余りにも、彼女に関する手掛かりが少な過ぎる。
「もうひとつくらい桜花とあの山を結ぶ糸があれば、根拠もそれらしいものになるんですけど。やっぱりそう都合良くは…「糸ならある。」
顔を向けると、仰向けに寝転んだままの三蔵は目を開けていた。
「ここに来て、桜の木を見た記憶あるか?」
周りの景色にそれ程注意を払っているわけではないので、言われても咄嗟に思い出せない。
「………あ…」
不意に、頭の中に浮かんだ景色。
今日目にした物の中で最も鮮烈に映ったもの。