第14話 螺旋の暦 4
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食事の手を止め、考え込む。
「…………ポチ。」
一瞬の静寂の後、悟浄のバカ笑いがさして広くもない室内に弾けた。
不快に思って顔を上げると、その隣でポカンとこちらを見つめる八戒も一緒に視界に入ってくる。
隣を見やれば、春炯も珍しく小さな笑い声を上げている。
絶えずその顔に微笑を湛えている女だが、声を上げて笑うというのは意外と少ない。
むずがゆいような感覚を覚えてそこから視線を放し、食事を再開する。
「…顔に似合わず意外ですわ…」
「確かに似てるかも。……うん、この毛の色とかふわふわしたトコなんかそっくり!」
「に、似てる…って…何にっ?」
「昔、俺が三蔵に内緒で飼ってた犬。」
悟空の簡潔な説明に悟浄が噴出し、腹を押さえて耳に障る笑い声を更にデカくする。
「三蔵。前から思っていた事なんですけど、言葉の不意打ちとか予測つかない行動には弱いですよね?」
「八戒。お前、そんなに早死にしたいのか?」
堪えき切れないといった笑みを口元に浮かべて問うてくるのに、視線を強めて見返す。
「僕死ぬのは布団の上。96歳で老衰と決めてるんで、他のはちょっと遠慮させて頂きます。」
『ね。似ていると理由でいいのなら、桜花というのはどう?』と春炯が少女に笑いかける。
さっき褒められたばかりの衣服の色を指し示された少女の頬に、僅かに赤みが射す。
「桜は大好き。辺り一面薄紅に染まった中を歩くのは、最高の気分ですもの!」