第14話 螺旋の暦 4
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「…どういう事です?」
尚も必死に考え込んでいる様子の少女が、そのままの顔つきでこちらを見やる。
「いくら巫女と崇められるからと言って、自分の子どもが一生屋形に閉じ込められっぱなしになるのを喜ぶ親はいないでしょう?だから尤もらしいこじつけをして、子どもを巫女に仕立て上げていたのよ……」
「なんでお前がそんな事知ってんだよ?」
語調も荒く問いかけるのを注意する前に、「そんなの私に分かる訳ないでしょう」と負けない強さの声が室内に響く。
「知ってるんだからしょうがないじゃない。」
どうやらこの2人、放っておくと悟浄と悟空より厄介なコトになりそうだ。
『なら、何故こじつけで連れてきた子どもに巫女としての才があったのかしら?』
同様の印象を抱いたらしい春炯に、少女が顔を向ける。
『この地に雨が降る事は他所の土地に比べてとても珍しい事なのでしょう。なら、その日に生まれてきた子どもに巫力が備わる事もあるいは、あるのかもしれない。けれどそれを尤もらしいこじつけだとしてしまうのなら、他に雨を降らせる力を持った”何か”があったのでは?』
「…そう…。雨を降らすのは、巫女の力じゃなくて…」
「なくて…何です?」
「春炯の言うように…何か、奉っている物があった筈なんだけど…」
もどかしそうに目を細めていた少女がやがて、肩を落とす。
「思い出せない。でも、巫女の役割はその奉っている物に向け祈りを捧げる事ですわ。巫女の条件は唯一つ。清廉潔白である事。」
生まれたばかりの赤ん坊を、外部とは一切接触させずに育てればそれも可能だろう。
「それ本当なのか?」
「疑ってるんですの?」