第14話 螺旋の暦 4
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「雨が降らないから巫女が決まらないのか、巫女が決まらないから雨が降らないのか、ってか?」
通夜の席のような雰囲気を吹き飛ばすべく、敢えて明るく言ってジョッキに口をつける。
「鶏と卵、どっちが先かってのに似てるよな。」
「鶏と卵はどっちが先でも構いませんけど、雨が降らない事はここに住む人にとっては死活問題なんですから。」
「でもこれではっきりしたよな。」
「何がです?」
「この街で手ぇ出しちゃダメな女はその巫女だけ。その巫女も今はいないってコトは、より取り見取りってコトだろ♪」
深く溜め息を吐いた八戒に構わず続けてビールを煽ると、『悟浄』と別方向から声がかかる。
やっと口をきく気になったかと内心でなんとなくほっとして、そちらを見やる。
「…何だよ。」
どこか哀れみさえ含んだような目を向けてくるのに、眉根を寄せた。
『貴方、大切な事をひとつ忘れてない?』
「?」
「コブ付きで女口説きまわる気か?」
言われて思い出し、無意識に視界から締め出していた八戒のベッドに目を向ける。
そこにちょこんと腰掛けた少女の姿に、天井を仰いだ。
「どうかしたんですか?」
振り返った八戒の問いを受けた少女が、「…おかしいわ」とポツリと呟く。
「巫女が雨の日に生まれた子どもだなんて、そんなのただの言い訳でしかない筈なのに。」