第13話 螺旋の暦 3
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「ありがちな話だな。」
三蔵の発言に内心で同意しつつ、湯のみを手にとる。
『巫女は神を降ろす器ではなく、神を迎える役目を負った人間という事ね。』
「つまり権力者じゃなく、神さんのハーレムってわけか。」
「いえ、巫女様は常にお一人なのでハーレムじゃあないです。」
「その巫女様はどうやって決めるんですか?」とお茶を啜りながら聞いてみる。
「んなの、美人コンテストに決まってんじゃん。」
嬉々として言う悟浄を見やり、眉を寄せる。
「その根拠はなんですか?」
「神様に気に入られなきゃなんだから、やっぱ街1番の美人で決まりだろ?」
「バカは放っといて。実際のところどうなんだ?」
「雨の降る日に生まれた子どもが、巫女様になるんです。」
あまりに簡潔な決め方に一同唖然とする中、只一人春炯が『成る程』と小さく呟いて箸を置く。
「この土地に雨が降る事は稀ですし、街の人口もそんなに多くありません。多分皆さんが考えているよりはずっと珍しい事なんです。」
「僕が山で見た屋形には、誰も住んでないようでしたけど…」
「前の巫女様が亡くなってから、巫女の資格を持つ子どもが生まれないんです。」
憂いを帯びた表情で窓外を見やった希紗に、いつの間にか食事の手を止めた悟空が笑いかける。
「でも巫女がいなくても、この街大丈夫みたいじゃん。」
「…年々、雨の降る日もその量も減っているんです。街を取り囲む森も、外側から徐々に蝕まれるように狭まってきていますし……」