第13話 螺旋の暦 3
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「そんな訳ないでしょう、悟浄。」
悟浄の露骨でぞんざいな物言いを、八戒が窘める。
『そう言えば、少し古びてはいたけど屋形があったの。それと関係が?』
「この街には独自の信仰があるんです。その屋形もその為に造られた物で、5年前まではちゃんと人も住んでいたんですよ。」
「信仰を止めたのか?確か、姫神を祀っていた筈だが。」
「何、姫神って。」
悟空を無視し、盆を持ったままの希紗を見上げる。
「私達が祀っているのは姫神様ではありませんけど?」
「神を降ろす巫女がいた筈だが?」
「…よく知ってますね。」
「以前一度来た事がある。だが、俺の認識と現状は違っているみたいだな。」
「……最初からお話した方がいいですか?」
「そうだな。」
じゃあ、と口を開いた希紗の話は遥か昔に遡ったところから始められた。
300年程前はこの広大な荒れた大地も以前はもう少しマシで、ポツポツとだが人の住める場所も存在した。
この街の元となった小さな村もそのひとつで。
当時山に住んでいた美しい女性を、天に住まう1人の神が見初めた。
その神が司っていたのはこの大地に、そして生命に最も必要不可欠な水だった。
神がその女性に会いに地上に降りる度にこの土地に恵みの雨が降り、他の荒れていく大地を余所に緑が生き残ったのだという。