第13話 螺旋の暦 3
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いっそ意識を手放す事が出来たら、どれ程良かったか。
頭を抱くように首に回された白く細い、子どもの腕。
触れているという感触はあるのに、当然かかる筈の重さは鳥の羽程も感じられない。
「取り敢えず、こちらに来て座りませんか?」
呑気に八戒が声を掛けたのは、自分ではない。
……やはり、どう考えても異常な事態だ。
『どうぞ。』
席を立って笑いかけた春炯に少女が素直に従い、床に降り立つ。
脛の中ほどまでを覆う薄紅のスカートがその動きに合わせて、ふわりと膨らむ。
「悟浄もそんな所に立ってないで、座ったらどうです?」
「………ああ…」
溜め息のような自分の声を聞きながら、室内へと歩み入る。
平然と少女に相対している八戒と春炯、我関せずの姿勢でコーヒーに口をつけている三蔵に対する異様な感は拭えないが、ここは確かに取り敢えず落ち着いた方が良いのだろう。
椅子の背を引き、腰掛けようとした時。
『紅茶がいいかしら。』
「あ、もう死んでるのでお構いなく。」
「そうですよね。もう飲めませんもんね。」
長閑に笑い合う3人に、中腰の姿勢で固まる。
『悟浄はコーヒーでいい?』