第13話 螺旋の暦 3
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
呆れたような視線を投げてまた息を吐いた三蔵と、口元に手をあてたまま動けないでいる春炯に困惑した悟浄が顔を向けてくる。
「…悟空や僕達がどうのという問題じゃなくて…悟浄、貴方つかれてますよ。」
「……確かに、疲れてるけど……?…」
「いえ、その疲れるじゃなくて…」
一体他に何があるかのかと首を傾げた悟浄に、三蔵が腕を上げて指差す。
「お前は取り憑かれてるんだよ、そいつに。」
反射的にだろう、自身の右肩上辺りを仰ぎ見た悟浄の表情が本格的なものに変わる。
「三蔵、お前真顔でそういう冗談言うなよな。笑えねぇぞ!」
「冗談じゃないからこそ、笑える状況じゃないと思うが。」
「確かに。」
正論を淡々と言い渡され、言葉に詰まった悟浄が今度は同じくその左斜め上を見ている春炯を向く。
「しゅ『ごめんなさい。この人霊感ゼロみたいなので、もう少しはっきりと現れられるかしら?』
「…って誰と話してんだお前はっ!」
『…悟浄、少し落ち着いて…』
「誰とって、私とに決まってるでしょう?」
鈴を鳴らしたような幼い声が流れ、栗色の髪が、ふわりと波打つ。
同じ色の大きな瞳で瞬きを忘れて固まっている悟浄を覗き込み、にこりと愛らしく笑いかけた。
「――っ」
直後、意味を成さない怪しい奇声が宿の隅々まで長く尾を引いて響き渡った。