第12話 螺旋の暦 2
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「三蔵、あれは一体…」
突然飛び込んできた八戒の声に、俯けていた顔を上げる。
同時に足を止め、短く息を飲む。
見つめる先にあるのは、ちょうど人間の胴と同じくらいの太さの木。
空に向かって真っ直ぐに伸び、葉を茂らせている様は他の木々と同様だがただ一点、違う箇所があった。
木の幹に浮かび上がった、女性の姿。
「三蔵、向こうにも…」
慌しく視線を向ければ、同じ様に幹に女性の姿を浮かび上がらせた木が周辺に3本、点在していた。
『何かしら、これ…』
木に近づいた春炯が、恐れる風もなく手を伸ばす。
緩やかに曲線を描いている髪は腰ほどまであり、ふわりと広がった長いスカートに微笑を湛えた唇。
『すごい…』
柔らかなイメージの、少女という枠をようやく越えたばかりの女性の姿。
まるで今にも動き出しそうな程の精巧さに目を眇めながら、「以前はこんな物なかったはずだが…」と口にし眉根を寄せる。
これ程インパクトのある物を忘れたり見落としたりするはずはない…とすればこれは自分がこの地を去った後に彫られたのだろう。
何にせよここで足を止めていても、どうにもならない。
「…行くぞ。」
尚も興味深げに女性像を眺めている2人に声をかけ、歩みを再開させる。