第12話 螺旋の暦 2
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「…じゃあ、勝手に好きに呼ぶぞ。」
「その必要はない。出ていくと言っている。」
「格好からしてどっかの寺の小坊主のようだが、礼儀を知らないようだな。」
「世話になった事には礼を言う。」
やれやれと肩を竦めた男が持っていたカップを奪い、こちらを見下ろす。
「出ていきたいなら好きにすればいい。ただし、自分の大事な物は自分で探せ。外にも小屋は3つあるから、自力で探すのは大変だろうけどな。」
「…どういうつもりだ?」
「別に横取りする気はないさ。お前の怪我が治ったら、返してやるよ。」
そう言って身を翻し、唯一の出口である扉に向かっていく。
「外で仕事してるから、何かあったら呼べ。」
と、扉が閉められる直前肩越しに振り返った顔が意地悪そうに笑う。
「言い忘れたが、俺の名前は叶だ。見ての通り年齢不詳。どうせ短い間なんだから、仲良くやろうぜ。」
「今日中に探し出して出ていってやる。」
心底楽しんでいる耳障りな笑い声にそう、宣言する。
訪れた静寂を暫し睨みつけ、慎重に床に足をつける。
ひんやりと冷たい感触と裏腹に外から射してくる陽に手を、翳した。