第12話 螺旋の暦 2
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目が覚めて見えたのは視界を覆う雨雲ではなく、木目の天井。
横たわっている場所も濡れた地面ではなく、ベッドの上だった。
折れていると思われた右腕は添え木で固定され、他の大小の傷も包帯で覆われているのが分かる。
「………」
がそういった諸々とは別に吐き気さえ込み上げるような匂いに眉を顰め、首を僅かに左へと動かす。
小さなテーブルの向こうに台所が見え、そこに背を向けて立っていた男が視線を感じてか、振り返った。
「ようやくお目覚めか。丸一日寝てたぞ。」
それは、意識を失う前「死んでるのか?」などとふざけた物言いをした声と同じもので。
状況からして、自分が彼に助けられた事は間違いないだろう。
だが。
上着から靴まで意図的としか思えない程身につけている物は黒で統一され、無造作に束ねられた長い髪も同様。
そんな中で、左の眼だけがどこか、異様な輝きを放っていた。
茶と金の間とも、その両方が混じりあったともいえる微妙な琥珀色。
右眼は、額から頬骨の下まで伸びている引き攣った3本の傷痕に隠されて見る事は出来ない。
薄い唇は笑みの形をとっているが、左眼は獲物を物色する虎のように隙がなかった。
「あんたは?」
面白がるように目を細めた男が口元に笑みを浮かべたまま、顎を上げる。
「あんたは?じゃ、何が知りたいか分からないだろ?俺の名前か?年齢か?女の好みか?それともスリーサイズか?」