第12話 螺旋の暦 2
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『………』
言葉を発する事なく獣道を行く三蔵に目を据えて歩く横顔に、口を開く。
「…三蔵と会ったのは、いつ頃なんですか?」
『…7年前、くらいかな。持覚様が亡くなられて、三蔵が慶雲院に来た頃だったから。』
唐突な問いにちらりとこちらを見た春炯が、視線を前へと戻す。
『初めて会ったのはそれより全然前。私が5歳だったから…17年前?』
『全然覚えてないんだけどね』と続けるのに、瞬く。
「17年前…ですか。」
『生まれた村が妖怪に襲われて…三蔵のお師匠様にあたる先代三蔵様が、身寄りのなかった私を保護して下さったの。』
先代三蔵……その姿は三蔵の言からも時折、感じ取る事が出来る。
『金山寺という当時三蔵がいた寺院に…1年くらい、いたかしら。でもホラ、お寺は女人禁制でしょ?だからその後は長安の斜陽殿に移ったの。でもそれからも季節ごとに便りを下さって…1年に1度、誕生日の日には必ずいらしてくれて、とても嬉しかったのを今でも覚えているわ。』
恐らく意識せずにだろう、少女のように顔を綻ばせたその目が半ば、過去に向いたまま前を行く三蔵を映す。
整った顔立ちに、様々な感情が透けて見えるようだった。
『11になった夜、斜陽殿の巫女に任ぜられて…早く伝えなくちゃと思った…光明様に…。ずっと、待っていたのその日も……。』
言葉を切った春炯が、睫毛を伏せる。
踏み拉かれた草の青い匂いが意識とは違うところで、強く、香る。
『だけど…』