第12話 螺旋の暦 2
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「暇だな。」
悪戦苦闘の末に片付け終えた部屋で、煙草の煙と共に言葉を吐き出す。
あった場所に戻した椅子に座ってまだ5分と経ってはいないのだが、何もする事が無いので暇としか言いようがない。
背を丸めるようにして頬杖をついたまま、左手で灰皿を引き寄せる。
「やっぱ、どこにもいないっ!」
先程留め具を直したばかりのドアが勢いよく開かれ、仁王立ちした悟空が憤懣やるかたないといった顔でこちらを見る。
「今度ドア壊れたら、直すのお前だからな。」
短くなった1本を灰皿に押し付け、新たな1本を取り出したその時。
「…何すんだよ。」
引っ手繰るように奪い取られたのに眉根を寄せると、悟空が一歩距離を詰めた。
「だから、三蔵と八戒と春炯が宿のどこにもいないんだってば!」
「出かけたんだろ。」
「今頃俺に内緒で何か美味いモン食ってんだ!」と拳を握り締めて喚くのに、それはないだろうと思う。
「て、悟浄?」
立ち上がってその横を通り過ぎると、泡を食ったような声が背中に届く。
「暇だからその辺うろついて来る。」
後ろ手を振って部屋を後にしながら、ポケットを探る。
そう言えばそろそろ、煙草を補充しなくては。
「おい、待てよ悟浄っ」