第12話 螺旋の暦 2
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「お客様に手伝ってもらうなんて…本当に、すみません。」
『だってこんなにたくさん一人で運ぶのは大変だし…うーん良い匂い。食パンはやっぱり厚切りがいいなー。』
「ご近所のパン屋さんで朝焼いたのを届けてもらってるんです。宿を出てすぐ前の通りを…」
歳の頃も近いからだろうか、打ち解けて希紗と話しながら歩く後姿から意識して視線を引き剥がす。
…なぁに?
ふわふわと波打つ黒髪に触れたいと、思ってしまった。
邪気のない瞳がやがて逸れていくのに、尚更。
「………」
『八戒。』
「はい?」
『少なくとも、1回目はもう終わってるよね?』
お盆を抱えたままそう問う春炯に、希紗が瞬く。
「僕が降りてきてからもう10分は経ってますから、恐らく。」
『よし。』
「?」
「いえ、何でもありません。こちらの事です。」
首を傾げる希紗の隣で歩みを再開させた春炯が、ブーツの先で扉をコツコツと叩く。
『開けてー、悟空ー。』