第12話 螺旋の暦 2
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「目ぇ開けたまま寝てんじゃねーよ。」
「目を開けたまま寝るなんて、そんな器用じゃありませんよ。」
ふいにかかった声に天井を見つめたままの状態で苦笑する。
「じゃあ、何なんだ?」
「…見慣れない天井にもようやく慣れてきたなって思って…」
「……寝惚けてんじゃねぇよ。」
「寝惚けてる訳じゃないんですけど」と身を起こすと、すでに身支度を整えた三蔵がテーブルについて新聞を捲っていた。
簡単に服装と髪を整えて誘われるように窓際へと向かい、両開きの窓を左右へと開け放つ。
流れ込んでくる朝特有の澄んだ冷気が、心地良い。
快晴の空の緑は、昨日までの荒れた大地がまるで夢か何かだったかのように色濃く、豊かだ。
木々に留まっているのであろう鳥の囀りまで聞こえてくる、申し分の無い朝の風景。
「いい朝ですね。」
振り返ると同時にドアの向こうからくぐもって聞こえてくる、何事か喚く声。
ガタン、ドスン、と重い物が倒れるような音がそれに重なり、次いでバンッとドアを開ける音が響く。
そして体ごとぶつかるようなノックの連続に、比喩でもなんでもなく、室内が揺れる。
「三蔵、八戒!もう起きてんだろ?ここ開けろよっ。俺、もう悟浄と一緒の部屋なんか絶っ対にイヤだっ!」
「それはこっちの台詞だっつってんだろ、サル!」
「サルって言うなっ!」
「…本当に、いい朝だな。八戒。」