第12話 螺旋の暦 2
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一面の黄金色。
気の早い綿毛がちらちらと飛ぶ中に佇む背中で、眩しい程に輝く金糸が揺れている。
もうずっと昔に追い抜かれた背丈は、きっともう縮まらないのだろう。
『――…』
呼べない名前。
それでも振り返ってこちらを見たその顔が、優しく笑う。
つられるように笑って隣に視線を向けると、ぎこちなく花に触れていた大きな瞳がこちらを見上げた。
「これ、――にあげてもいい?――――
『………悟空……?』
室内に浮いた自分の声に、目を開ける。
起き上がってなんとなく頬に触れたそこに、涙の跡はない。
それなのにどうして
いつの頃からか、視る夢。
”あれ”以来、ぱったりと途切れていたからそういう力もてっきり、まとめて消え失せたのかと思っていたけれど。
『………』
横向くと窓外の遠い空が薄っすらと、朝の色を纏わせ始めているのが見えた。
ベッドの上で一人膝を抱え、顔を伏せる。
あと数時間もすれば夜が明ける。
どうしてこんなにも、胸が苦しい。