第11話 螺旋の暦 1
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『何?』
多分に棘の含まれた声に、怯む。
「じゃ、どーしたんだよ?」
「どうせ八戒がお得意の口車で治めたんだろ。」
「三蔵、口車だなんて人聞き悪いじゃないですか。そんな事してませんよ。」
「なら、どうしたんだ?」
「忘れてもらいました」とさらりと告げられた言葉に、明らかな非難を浮かばせた大きな瞳が逸れる。
「仕方ないんで。」
「……お前、催眠暗示なんて出来たのか?」
「ええ、まぁ。見よう見まね…というか、やってみるもんですね。」
「んな昔の事より、大事なのは今だろ!どーなってんだよ?もう大分走ってんのに全然それらしい物見えて来ねえじゃん。」
「そうですねぇ。」
かなり見え透いた話題転換に乗っかってきてくれた八戒に、とりあえず内心で感謝する。
「だろ?だから、引き返そうぜ?」
「どうします、三蔵。」
『必要ないみたいよ。』
すっと前方を指し示した春炯の指の、先。
「あっ」と短く声を上げた悟空が、嬉々として身を乗り出す。
目の前に広がる、ここまでの乾いた大地が嘘のような木々の影。
「…着いたぞ。」