第1話 Begin again
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「こんばんはー。」
本殿を見上げながら自然と声が小さくなるのは、更け始めた時間のせいもあるだろうがそれより何より、意外と立派なその門構えにもよるものだろう。
しばし応答を待ってみるが、微かな風鳴りと木々のざわめく音が響くだけ。
「「「………」」」
「こんばんはー!」
「「「………」」」
「……寝てんのかな?」
「そりゃないだろお前まだ夜の8時過ぎよ?どっかの坊主じゃあるまいし。」
「いえ、でもあながち言えないですよね。お寺の朝って早いじゃないですか。」
「え、でも三蔵は「誰だいアンタ達?」
「わあっ!?」
胡乱気な視線でこちらを見る母親らしき女性の背中に、小さな顔がさっと隠れる。
「あ…夜分に騒がしくてすみません。」
笑みを浮かべた八戒がぺこりと頭を下げるのを見て、それに習う。
悟浄もやれよと思うのだが、ここで口を挟むのはなんとなくいけないような気がして我慢する。
「僕ら旅の者なのですが、町でここにいらっしゃるという巫女様の話を聞きまして…今はお留守なんでしょうか?」
「………半時程前に出て行かれたよ。本町の方で子どもがケガをしたらしくてね。」
見知らぬ人間と話す母親の裾を握り締めていた子どもの視線がふと、あらぬ方を向く。
つられる様に目を向けた瞬間、茂った枝の間から野鳥が羽ばたくのが見えた。
「そうですか。では、また明日来てみます。教えて頂いて、どうも有難うございました。」