第11話 螺旋の暦 1
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……八戒、本当に怒ってる…。
どちらが先に言い出したのかは思い出せないが、確かに最初は2人のうちどちらかが退屈だ退屈だと繰り返し口にしていたかもしれない。
徐々にエスカレートしていったくだらない言い合いがいつの間にか取っ組み合いのケンカに変わっていたのだ。
それはいつもの事。
普段であれば5分も騒げば三蔵が銃弾の2、3発も飛ばすのだが今日に限ってはそれが、何故かなかった。
凍りついたように音の絶えた場に耐え切れず、固まっていた表情を無理に笑みの形に変える。
『為になるお話が聞けて良かったわね。ね、2人とも。』
「――いや、もうマジで。」
「――ホント、ホント。」
「楽しんで頂けたようで幸いです。」
前方から風に乗って聞こえてきた声の柔らかさに、ほっと息を吐く。
「はなからそうして黙ってりゃいーんだよ。」
「まぁ、悟浄と悟空の言い分も分からなくもないですから。」
蒸し返すような発言に間髪入れずフォローを入れてくれるのももう、いつも通り。
『確かに…』
ジープは今日、朝から1度も足止めを食らう事なく順調に走り続けている。
ここ数日頻繁に現れた紅孩児の刺客と思われる妖怪の襲撃もなく、右を見ても左を見ても視界に入るのは赤茶けた岩があちこちに点在するだけの荒れた大地。
『一日中この景色ばかり見てて、飽きない訳ないわよね。』
特に悟空と悟浄はという言葉を、あえて飲み込む。